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第2章 現状と課題

1 学校や社会の大きな変化

 新型コロナ感染症拡大の影響があり、小・中学校への高速大容量通信のネットワーク構築と一人1台端末の整備が前倒しされ、令和2年度末には日本全国はほぼすべての学校で整い、GIGAスクール構想のスタートが令和3年度4月より切れる状態になりました。本町においても、同時期から各学校の先生方にデジタル教材の活用や研究について学校をあげて考え、実践いただくよう情報発信をいたしました。

 また、生成AIの急速な開発やビッグデータによる各種ポータルサイトの課長に社会が翻弄されているのが現状です。こうした時代だからこそ義務教育の段階から子どもたちに自分で課題を見つけ、自分で考え、自ら分析・評価し、問題解決につなげていく力を育成する探求型学習の形態が求められます。

2 子どもを中心に据えた取組の必要性

 令和5年の日本の合計特殊出生率が1.20となり、人口の集中が著しい東京が1.0という調査結果が出て、少子高齢化が一段と進んでいることは間違いのない状況となっています。このような状況を懸念して国の方は、数年前から次代の社会を担うすべての子どもたちが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、たくましく自立した人間として健やかに成長することができ、子どもの心身の状況や置かれている環境等に関わらずその権利の擁護がはかられ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会を実現するために、令和5年4月に「こども基本法」が施行されました。

 また、政府はこども基本法をもとに各省庁が総合的に取り組むことができるよう「こども大綱」を定め「児童虐待」や「不登校」・「子どもの貧困」など幅広く対応するために政策を推進することとなっています。

 教育は「国家百年の大計」という言葉が中国にありますが、「人を育てること」は町にとって最も大切なことで、幼児期から高齢者までの生涯学習を担う教育委員会の仕事の中でも、取り分け次世代を担うこどもたちの人格形成と学習に向かう力・問題解決できる力の育成を推進することが重要となっています。

3 子どもの学び

 令和6年度、春実施の全国学力学習状況調査の6年生の児童生徒質問紙の調査項目、「朝食を毎日食べていますか」の問いに対して、【全く食べていない】と回答した児童の割合が7.7%(全国平均1.7%)と全国と比較してかなり多く、【毎日食べている】と回答した割合が53.8%と全国平均より約30%も少ないことがわかりました。また、別の項目の「毎日、おなじくらいの時刻に寝ていますか」の問いに対しても【毎日同じ時刻に寝ている】と回答した割合が15.4%(全国平均39.7%)と就寝時刻が一定していないことがわかりました。

 令和6年度の6年生の全国学力学習状況調査の算数や国語の調査結果の平均正答率の数値こそ全国や和歌山県を上回っていますが、児童生徒質問紙の生活調査の項目部分を見ると、他にも毎朝の起床時刻も安定していない傾向が強く出ていますので、小学生の子どもたちの生活にどのような変化が各学年ごとに出てきているのか、そのことによる課題がどのように現れているのかということを令和6年度中に明らかにすることが求められ、学力と生活の良好な関係を保ち続けるための具体的な対策が喫緊の課題となりました。

 「次代を担う人間の育成」という観点から、子育て世代の保護者の方々を如何に支援していくかという事を学校・家庭・地域が情報共有し、安心して子育てできる物理的、精神的な環境を整え、子どもの教育にゆとりと自信を持って子育て世代が取り組めるよう支援することが重要となっています。

 教育委員会では、「子どもの確かな学び」につながるあらゆる要点を洗い出し、問題解決に積極的に取り組む「子どもの育成」が重要と考えています。

4 元気な生涯学習のまち九度山

 本町にとって少子高齢化の課題があり、それに関連する多くの問題にも直面していますが、町が一丸となって「子育てしやすい町」・「住んでよかったと思える町」を推進することにより、おのずと解決できる課題も多くあります。それを可能にするのが「生涯学習=ウェルビーイングの原動力の一つ」であると考えます。主体的に行う「学習」や「互いに学び合うことから得られる喜び」と「絆の広がりから得られる連帯感」、「健康を維持し働けることへの喜び」、「家族や仲間或いは地域の人々と支え合う喜び」そうした様々な喜びが幸福を生み、生き甲斐(幸福)へと繋がります。ここに至るまでのプロセスのんかでキーワードとなるのが「生涯学習」という概念で、その一つひとつの要素がウェルビーイングの概念に包含されており生涯を通して「自ら学ぶことによって生み出す英知」と「学ぶことによって、自らが変わる喜びと幸せ」が、一人から二人、二人から仲間、そして地域へと広がれば「地域が変わり」、町に活力の息吹を与え「町が変わっていく」ものだと考えます。

5 伝統ある九度山の教育基盤にプラスしたいもの

 少子・高齢化等による人口の減少に起因する地域社会の変容や核家族化などによる一人ひとりのライフスタイルやニーズの多様化などの変化が一段と進んでいる中で、人々が心豊かに暮らしていくためには、地域への帰属意識・連帯感などの強い絆を形成し、安心して生活できる地域社会を目指さなければなりません。そのため、一人ひとりが自主的に地域社会との関わりに目を向け活動意欲を高揚させ、一方受け入れの側の課題として、様々な活動に参画できる環境を官民協働で整備していくことが求められています。人々の主体的で持続可能な社会との係わりの中で、幸福感・達成感と喜びが実現できる「生涯学習=ウェルビーイングの原動力の一つ」は極めて重要であり、「学び・教え・伝え合う」ことに「喜びと生き甲斐と幸福」を見い出していける「生涯学習社会」の成熟に努めなければなりません。

 また、平成30年4月から九度山町においても導入いたしましたコミュニティスクール制度や永年培ってきた教育コミュニティの仕組みを大いに活用し、これまで様々行ってきた公民館での学習活動や自分が永年身につけてきたキャリア等を通して得た知識や技術を地域社会や子どもたちの教育(学校教育)に活かし、大きく社会に貢献することができる実感を多くの人に味わってもらえるよう「熟議」などを通してコミュニティスクール制度の成熟をはかるための機会が重要となります。

 地域の子どものことを考えると、学校の先生方だけでは解決しにくい課題も多く、地域で生活し続ける地元住民だからこそ地域の子どもとの関わりによって子どもたちを見守り続けることができる存在となり得ます。地域住民は、その最大限の強みを十分に生かし、学校の子どもたちや子育て世代の保護者を支える大切な組織の一員として「喜びと生き甲斐と幸福を感じる」コミュニティづくりの推進に努めなければなりません。

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最終更新日:2025415
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